日本酒はどこから来た? 米と麹からたどる酒の起源

稲穂と米を盛ったざる、木の発酵容器、徳利と二つのおちょこを点線でつないだ線画。

米を炊けば、ごはんになる。では、同じ米から、どうして日本酒が生まれるのでしょうか。

その問いをたどると、「最初に発明したのは誰か」だけでは見えてこないものがあります。古い記録、微生物の働き、そして目には見えない変化を扱おうとしてきた、人の工夫です。

「始まり」は、一つではない

ここでは、米を原料とする醸造酒としての日本酒を扱います。その背景には、アジアで育まれてきた稲作と米の酒造りがあります。ただ、「米から造る酒の始まり」と「現在の日本酒の成立」は、分けて考える必要があります。

日本酒造組合中央会の歴史解説(英語)を見ても、日本酒は最初から完成した姿で現れたのではなく、長い変化の積み重ねとして紹介されています。

古い記録から、どこまで分かる?

日本の酒造りが正確にいつ始まったのかは、分かっていません。手がかりの一つは、8世紀前半に編まれた『播磨国風土記』です。神に供えた米飯にカビが生え、それをもとに酒を醸し、宴を開いたという話が記されています。国税庁・税務大学校の日本酒史の研究は、これを米麹を使った酒造りの古い文献上の手がかりとして取り上げています。

ただし、酒造りの記述は「発明の証明書」ではありません。書物が編まれた年を、最初の米の酒が生まれた年にはできませんし、古代の酒が現在の日本酒と同じ味だったとも限らないのです。

米とアルコールをつなぐ、麹の仕事

そこで大切になるのが、麹です。米にはでんぷんが含まれていますが、酵母が利用するのは糖。米麹は、蒸した米に麹菌を育てたものです。酒類総合研究所の日本酒入門(英語)では、麹・蒸米・水・酵母を培養した酒母が酒造りに使われる流れを確認できます。

  • 麹の酵素が、米のでんぷんを糖に分解する。
  • 酵母が、糖をアルコールと二酸化炭素に変える。

もろみの中では、この二つの働きが並行して進みます。これが並行複発酵です。同じものに二通りの名前を付けたのではなく、異なる仕事が、同じ仕込みの中で進んでいるわけです。農林水産省の解説でも、この違いが図で紹介されています。

変わり続けてきた、酒造りの技術

中世には、神社や寺院も酒造技術を育てる場となりました。麹にする米と、もろみに加える米の両方に白米を使う方法や、原料を段階的に加える工夫などが発達していきます。日本酒造組合中央会・酒類総合研究所の『A Comprehensive Guide to Japanese Sake』第10章(英語PDF)で、その歩みが説明されています。

そう考えると、伝統は「昔の製法を何も変えずに守ったもの」というだけではありません。観察し、調整し、技術を伝える。その積み重ねが、一杯の中に入っている。そんなふうに見ると、日本酒は少し違って見えてきます。

日本酒から、一休と小町、そしてSFへ

身近な文化と、その奥にある仕組み。その交わりは、物語への入口にもなります。小説『BOZWARZ』では、主人公の一休も、小町も、酒好きとして描かれています。

この二人が気になった方は、「型破りな禅僧:一休宗純の生涯と教え」や、「美と無常の象徴:小野小町と仏教的思想」も、どうぞ。

日本の文化とSFが出会う小説にも興味が湧いたら、Kindleで『BOZWARZ』を読んでみてください。なじみのある一杯が、見知らぬ世界への入口になるかもしれません。

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